2016年09月20日
そう話す彩は幸せそうで

翌週、美作邸で開かれると思っていたパーティは、会場を変え、メープルホテルでの開催となった。
会場は華やかに装飾され、たくさんの豪華な料理が並ぶ。
出席者はすべてつくしと交友のあった人たちで、会場はフレンドリーな雰囲気で包まれた。
その会場を取り仕切る美作彩に、つくしは深々と頭を下げた。
「おば様、このたびは大変ご迷惑をおかけしました。
ご挨拶が遅くなって、本当に申し訳ありません」
彩はにこやかな笑みを見せ、首を横に振る。
「いいのよ、気にしないで。
でもすっかり良くなって、本当に安心したわ。
来月から出勤できるんですってね?
それはそれで類君の心配事が増えそうな気もするけれど…」
クスッと悪戯っぽく笑う彩に、つくしが類に不思議そうな表情を向ける。
「うん。ほんとにね。
いっそ専業主婦にでもなってくれた方がどんなにいいか…」
溜息交じりの類の言葉に、つくしは膨れっ面で睨む。
「うちの母親だって、あきらんちのおばさんだって、会社勤めしなくてもちゃんと会社支えてるし。
俺はそれでいいと思うんだけどなぁ」
「あたしがそういうタイプじゃないってわかってるでしょ?」
彩は二人のやりとりを微笑ましく見つめた。
「そうねぇ。私も優美ちゃんも、結婚してすぐ子供が生まれたじゃない?
会社勤めもしたかったけど、子育ての方が何倍も大変で、何倍も楽しかったわ」
それはそれでいいのかもしれない、とつくしも思う。
しかし、まだ結婚もしていないのに専業主婦とはいかがなものか…とも思う。
思案顔のつくしに、彩は柔らかく微笑み、『楽しんでいってね』とその場を離れた。
Posted by threelink at 11:53│Comments(0)