そう話す彩は幸せそうで
翌週、美作邸で開かれると思っていたパーティは、会場を変え、メープルホテルでの開催となった。
会場は華やかに装飾され、たくさんの豪華な料理が並ぶ。
出席者はすべてつくしと交友のあった人たちで、会場はフレンドリーな雰囲気で包まれた。
その会場を取り仕切る美作彩に、つくしは深々と頭を下げた。
「おば様、このたびは大変ご迷惑をおかけしました。
ご挨拶が遅くなって、本当に申し訳ありません」
彩はにこやかな笑みを見せ、首を横に振る。
「いいのよ、気にしないで。
でもすっかり良くなって、本当に安心したわ。
来月から出勤できるんですってね?
それはそれで類君の心配事が増えそうな気もするけれど…」
クスッと悪戯っぽく笑う彩に、つくしが類に不思議そうな表情を向ける。
「うん。ほんとにね。
いっそ専業主婦にでもなってくれた方がどんなにいいか…」
溜息交じりの類の言葉に、つくしは膨れっ面で睨む。
「うちの母親だって、あきらんちのおばさんだって、会社勤めしなくてもちゃんと会社支えてるし。
俺はそれでいいと思うんだけどなぁ」
「あたしがそういうタイプじゃないってわかってるでしょ?」
彩は二人のやりとりを微笑ましく見つめた。
「そうねぇ。私も優美ちゃんも、結婚してすぐ子供が生まれたじゃない?
会社勤めもしたかったけど、子育ての方が何倍も大変で、何倍も楽しかったわ」
それはそれでいいのかもしれない、とつくしも思う。
しかし、まだ結婚もしていないのに専業主婦とはいかがなものか…とも思う。
思案顔のつくしに、彩は柔らかく微笑み、『楽しんでいってね』とその場を離れた。